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甲府地方裁判所 昭和24年(行モ)11号 決定 1949年12月26日

申請人

渡〓亘

被申請人

芦川村長

主文

被申請人山梨県東八代郡芦川村長が地方自治法第百七十八条に基き、昭和二十四年十二月八日なした、右芦川村議会を解散する旨の行政処分の執行は、申請人被申請人間の当庁昭和二四年(行)第四一号行政処分取消請求訴訟事件の本案判決確定に至るまで、これを停止すべきことを命ずる。

理由

申請代理人は主文のような決定を求め、その申立の理由とするところは、「申請人は山梨県八代郡芦川村議会の議長であるが、被申請人芦川村長は昭和二十四年十二月八日申請人に対し、右芦川村議会を地方自治法第百七十八条に基き解散する旨通知し、且つ同月九日その旨の告示をもなした。地方自治法第百七十八条は普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときの規定であるのに、芦川村議会は昭和二十四年八月三十日招集されて以来今日に至る迄一回も招集されたことはなく、従つて被申請人の不信任決議をしたこともないのであつて、被申請人のなした右解散の行政処分は違法たることを免れない。そこで申請人は被申請人を相手取つて、行政事件訴訟特例法第二条による右解散の行政処分取消請求訴訟を甲府地方裁判所に提起し、右は昭和二四年(行)第四一号として同庁に係属したが、既に昭和二十四年十二月九日、芦川村選挙管理委員会委員長大塚保重の名儀を以て、同月二十八日芦川村議会議員の総選挙を行う旨の告示がなされ、着々その準備中であるので、右事件の本案判決の確定を待つていては、償うことのできない損害を生ずるおそれがある。そこで右本案判決の確定に至るまで、右解散の行政処分の執行を停止すべきことの命令を求めるため、本申請に及んだものである」というのである。

案ずるに、被申請人芦川村長のした本件同村議會解散の行政処分が違法であるかどうかは、これが取消請求訴訟の判決におい判斷せらるべきであるが、右判決の確定前において、右行政処分の執行停止を命ぜられんことを求める本件申立は理由があるものと認めるので、行政事件訴訟特例法第十條第二項、第四項を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 入山実 裁判官 小林武勇 裁判官 五味〓郞)

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